食について

一ツ橋進学塾は、食べることを大切にしています!

食べ物は生きていく上でのエネルギー源であり、食べることは日常的に行う、命に直結した行為です。当たり前のようですが、現代のように、誰もが忙しい飽食の時代においては、バランス良く、情報に惑わされず自律的に食べることは時に難しいのではないでしょうか。食いしん坊の私自身も思い当たる点がありますが、成長過程の子どもにとっては尚更です。

自分自身を育てる時間をゆっくり取れるのは、子どもの特権です。
まだ色々なことが定まっていない無限の可能性を秘めた時期だからこそ、焦らず急がず、まずはバランスよく食べ、心身を調えてしっかり頭が働く状態を作り、机に向かって欲しいと思います。
その上で、勉学を机上の空論ではなく、立体的な思考力を育てる手段にしていくため、当塾では食に関わる様々な取り組みを行っています。 その一つに、私の出身地である岩手県での毎年恒例の夏合宿があります。

勉強合宿|毎年GW・夏休みに行う勉強合宿は、全国から参加者が集まる人気プログラム。 大自然のもと、勉強合宿のために用意された当塾専用施設で、1日約11時間~16時間(※)思う存分勉強に集中します。 例年、小学生・中学生・高校生・浪人生の幅広い年齢層が参加。 少人数制・個別指導の無駄のないプログラムで着実に実力を伸ばします。

夏合宿

夏合宿は、勉学の場であると同時に、慣れない環境で、人と歩調を併せて生活する場でもあります。朝は眠くても起きて、勉強し、自分の身の回りのことを自分でして、夜はしっかり休む……。ほとんどの子どもが経験したことがないほど長時間机に向かう集団生活の中で、重要な要素を果たすのが、食べることです。

この経験を色濃いものにするため、日々の食事は、生産者から直接入手する新鮮な食材をベースにしています。

採りたてのピーマンとゴーヤ|一ツ橋進学塾

採りたてのとうもろこし|一ツ橋進学塾の合宿の食卓は贅沢ではないけれど豪華です

採りたてのピーマンとゴーヤ|一ツ橋進学塾

無農薬に限りなく近い安全な食材ばかりで、これらを安定して提供してもらえるよう、縁を活かし時間をかけて環境整備するため、塾長やスタッフは、年中岩手に足を運んでいます。その食材を使った、シンプルで素材の味を活かしたメニューは、高級でも華やかでもありませんが、生命力にあふれていて、生徒たちは「ワイルド」と言いつつ喜んでいます。更に、保護者の皆様や卒業生からの心尽くしの差し入れが華を添えてくれます。

また、言うまでもなく、食事の役割は、栄養や美味しさだけではありません。
学年や性別を越えてコミュニケーションを深めながら食事を取る時間はかけがえのないものです。食材を届けてくれた生産者と接する機会は視野をぐんと広げてくれる貴重な機会になるでしょう。梅干し仕込み中|一ツ橋進学塾の合宿の食卓は贅沢ではないけれど豪華です

さらに

例えば喉を鳴らして井戸の水を飲み、顔を洗う朝、
例えば、教室へ向かう山道を歩みながら「腹くちい」という言葉を教わる朝食後、
例えば採れたてのきゅうりは、花のような香りがして、喉の渇きをいやし、体の熱を冷ましてくれると知る休み時間、
例えば、ぱちぱちと炭のはぜる音を聞きながら味噌焼きおにぎりを待つ待ち遠しさ、できあがりの熱々に、順番を譲り合ってかぶりつく晩、
例えば食材を届けてくれたおじいさんの節くれ立った手、全く聞き取れない方言に驚く最終日……。

こんな風に、瞬間瞬間の「おいしい」体験が積み重なっていきます。これらを通して分かり易く生きている実感を与えてくれるのも食の役割です。

おそらく、合宿が終われば、これらの「おいしい」体験のほとんどは言語化されずに多くは忘れられてゆくでしょう。
しかし、本人の中で時間をかけて集積され、栄養となり、熟成し、「おいしい」人間を作ると確信しています。

目に見えない微生物が養分になり、長い時間をかけて豊かな土壌を作り、おいしい野菜を育てるように。

目に見えるものが偏重される現代だからこそ、人生を豊かにする目に見えない「おいしい」体験を大事に育てていける塾でありたいものです。

夏合宿の家に戻った生徒が合宿の食卓を思い浮かべては語る話を羨ましいとため息をつく家族の話を聞きます。食事会でも、一般家庭では手に入りづらい岩手の食材をふんだんに使っていますので、ご都合が合えばぜひご賞味下さい。

また、時折、岩手から取り寄せた食材をお分けしていますのでお気軽にお声がけください。素材を活かすワイルドな調理法なら伝授致します。私が綴ってきた以上のような事を、どんな言葉よりも雄弁に伝えてくれる、岩手の野菜や魚、卵、パンのたくましいおいしさを体感していただければ嬉しく思います。

食べることは、生きること。命を頂くこと。

子どもたちがその有り難さの中で、生きる喜びに満ちて成長していけるよう、願ってやみません。